「債務整理」に関するQ&A
会社の連帯保証人になっているのですが、家を残せますか?
1 会社の連帯保証人になっていても家を残せる可能性はあります
会社が破産する際、会社の連帯保証人になっていると、会社の残債務の支払いを求められてしまいます。
実際、中小規模の会社においては、経営者が会社の債務の連帯保証人になっていることは多いです。
連帯保証債務の金額が大きく、経営者の方も自己破産をせざるを得ない状況である場合、原則として自宅は失うことになります。
連帯保証債務の金額や、関係者との調整状況によっては、自宅を残せる可能性があります。
具体的に、次の3つの方法を取ることができるかどうかを検討します。
①任意整理による債務の返済
②個人再生における住宅資金特別条項の利用
③任意売却と売却後の自宅不動産の賃借
以下、それぞれについて説明します。
2 任意整理による債務の返済
連帯保証債務の金額が比較的少額で、かつ会社破産後でも一定の収入が確保できるという場合、任意整理をすることで自宅を残せる可能性があります。
一般的に、任意整理は残債務の元金と遅延損害金の合計額を、3~5年(36~60か月)程度で分割して返済するようにする債務整理の手法です。
返済原資(毎月の手取り収入から、住宅ローンを含む生活費を控除した残額)が、任意整理後の月々の想定返済額を上回る場合であれば、債務を返済しつつ、自宅を残すことができます。
3 個人再生における住宅資金特別条項の利用
住宅ローンを除く債務の総額が5000万円以下である場合には、個人再生を利用し、自宅を残せる可能性があります。
個人再生は裁判所を通じた債務整理の方法のひとつであり、債務総額を大幅に減額できる可能性があります。
さらに、住宅ローンだけは従前とおり支払うことで抵当権が実行されることを回避し、他の債務は減額するという、住宅資金特別条項という制度があります。
自宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないなど、一定の要件を満たす場合であれば、住宅資金特別条項が利用できます。
4 任意売却と売却後の自宅不動産の賃借
自宅を第三者に売却し、売却先から元自宅を借り、その後自己破産をするという方法もあり得ます。
この方法を用いる場合、自宅の売却金額は適正な市場価格を反映したものに設定する必要があります。
親族などに不当な廉価で売却したと判断された場合、破産手続きにおいて売買が認められなくなり、売買契約が取り消される可能性があるためです。
また、自宅を任意売却して得た金銭は、基本的には生活に必要な分のみ使用し、破産手続きにおいて破産財団に組み入れる必要があります(被担保債権である住宅ローンの残債分については支払っても問題ありません)。
5 経営者保証ガイドライン
以上のほか、経営者保証ガイドラインを活用する方法も考えられます。
強制執行で差し押さえるものがない場合、通知を無視しても大丈夫ですか? 任意整理は必ず弁護士に依頼する必要があるのですか?